おこぎ船伝説Ⅱ

作詞 若本 正
作曲 五十嵐進
あおり・振付 前田侑希と仲間達

(ナレ1) それは元禄14年、西暦1701年のことでした。その日、阿賀村の岡野喜右衛門を始めとする漁師 たちは、音戸の瀬戸を越え、遠く九州まで出かけ、鯛網漁をしていました。
(歌1) エンヤーレー船頭かわいや 音戸の瀬戸はよ 一丈五尺のヤーレノエー 魯(ろ)がしなるよ
(ナレ2)
ところがその日の午後、天気は崩れ、その帰路は暴風雨の中の過酷なものとなりました。 そして彼らは宮島の沖で、今にも沈みそうな一艘(いっそう)の舟、宮島の神様を祀る御座舟( ござぶね)を見つけます。彼らは嵐の中、果敢(かかん)にもその舟の救助に向かったのでした。 それが、世に伝わる阿賀のお漕ぎ舟伝説の始まりです。
(歌2) 阿賀もんならよ 行けよ助けよ 嵐の時にもよ 一に飛び出せ そいつがわしらの心意気
(ナレ3)
阿賀の漁師達は必死で縄を御座舟に投げかけ、助けようとします。ところが、何しろ嵐の中、漁 師達の小舟では逆に彼らの舟まで転覆しそうになったのです。 けれどもその時でした。江波の仲間たちが、命がけで応援に駆けつけてくれたのでした。
(歌3) 荒波吠えて 夢も希望も 叶わぬ時にもよ がんと綱を引け 今によ友が駆けつける
(ナレ4)
そうして阿賀の漁師たちは仲間の協力を得て、御座舟をつかまえることに成功します。けれど も、その時既に日は沈み、彼らは真っ暗な闇の中、進路を見失ってしまったのでした。そうして 彼らの勇敢な行動は悲劇に終わるかにみえました。
(ナレ5)
その時でした。闇の中、突然一つの光が浮かび上がったのです。 鳥居に避難をしていた江田島の漁師たちが舟の帆柱に提灯を高く掲げてくれたのです。
(歌4) 闇夜の海で 見えぬ明日に 采(さい)振る時にもよ どんと櫓を漕げ 仲間が闇に灯をともす
(歌5) ヤーレー仲間よ友よ 歌え踊れよソーランソーラン 熱き心に五尺の体 どんと乗り出せ 波の上チョイ ヤサエンエンヤーサーのどっこいしょ


(ナレ6)こうして阿賀の漁師達の勇敢な魂と仲間の友情は世にお漕ぎ船伝説として伝えられることになったのです。そして私たちはこの踊りを通してこの阿賀もんの魂を受け継ぎ,伝えていくのです。










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