キンモクセイ
ファイル no.1 阿賀中学校に咲く秋の花
この花の香りとともに秋を思い出す人もいよう。ある日突然、強烈な自己主張を始める。漢名は丹桂(たんけい)。丹は橙黄色(とうこうしょく)の花を表し、桂はカツラではなく、モクセイ類の総称。中国・桂林はそれらの茂る街。
(2001/10/01 付け 朝日新聞「花おりおり」より)
ヒガンバナ
ファイルno.2 墓参りの日に天上を思う花
北地を除けば、ヒガンバナは日本の秋を強烈に演出するが、これは自然分布ではない。原産地は中国。田の畦(あぜ)や土手に多いのは、野ネズミが穴を開けるのを毒性のある球根で防いだからだろう。
(2001/09/23 付け 朝日新聞「花おりおり」より)
サルスベリ
ファイル no.3 阿賀のサルスベリ 天然記念物 呉市指定文化財 第48号
阿賀の大谷川沿いの家に,大きなサルスベリがあります。高さ約7メートル,
幹周り1.3メートルのこの木は,家が建てられた140年前には,すでに大きく
育っていたと言われています。今では,塀はもちろん屋根の高さをも越え,真夏の
日差しの中で,鮮やかな花を毎年咲かせています。
幹は滑らかで光沢があり,雨の後には乾燥した樹皮がぽろぽろとはがれ落ちて,
新しい白い幹が現れます。猿も滑るほど幹がつるつるとしているので「猿滑り(さるすべり)」
と呼ばれています。また,別名の「百日紅(ひゃくじっこう)」は,中国での古い呼び名。
花が咲いている期間が長く,100日も赤い花が咲き続けることから名付けられました。
しわのある繊細な花は,8月上旬から咲きはじめ,例年ではお盆あたりが見ごろです。
また,実がなるころには,その恵みにあずかろうと,ムクドリやメジロなどが訪れます。
サイカチ
ファイル no.4 広南中の校歌に歌われる花
呉市では、ここ広南中学校の他には、東畑中学校にしかない珍しい植物。花は雌雄別で初夏、5-6月に咲く。長さ10-20cmほどの総状花序。花弁は4枚、黄緑色で 楕円形をしている。秋には長さ20-30cmで曲がりくねった灰色の豆果をつけ、10月に熟す。鞘の中には数個の種子ができる。種子の大きさは1cmほど。
ベニバナトチノキ
ファイル no.5 平和大通りFFに咲く花
Aesculus carnea トチノキ科 トチノキ属
花が咲けば、トチノキとの違いは一目瞭然(りょうぜん)。
トチノキは白っぽい。ヨーロッパのマロニエと北米のアカバナトチの雑種で、19世紀の前半に作出された。マロニエは花は大きいが、色は白に少しピンクがまじる。一方、アカバナトチノキの花は鮮やかな赤だが、筒状で狭い。本種は両親の良さをもらう。(2004/05/14 付け 朝日新聞「花おりおり」より)
二千年ハス
ファイル no.6 神話の地斐川に咲いた永遠の花
1984年(昭和59年)斐川町の荒神谷遺跡で銅剣358本が出土しました。このあたり一帯が公園になり古代ハスが咲いています。
千年ハスは、1951年(昭和26年)4月、その種子が千葉県倹見川から丸木舟といっしょに出土した花です。
ここの二千年ハスは、この種子を発見した大賀一郎博士(岡山県出身)が島根県太田市へ贈られたものを、1988年(昭和63年)4月、太田市のご好意により譲り受けたものです。
二千年ハスの種子は、博士の研究では二千年前のものと推定されていましたが、最近アメリカの原子力研究所による放射性炭素の測定から三千年前のものだという説もでています。
1965年(昭和40年)6月15日、博士は81歳でなくなられましたが、なくなられたその日に島根県太田市の二千年ハスがはじめて花を開きました。
「ハスは平和の象徴」といわれた博士が発見し育てられた永遠の花は毎年さわやかな花を咲かせ続けることでしょう。
広町田のコスモス
ファイル no.7
ふるさとの町と黒瀬川への愛が咲かせた花
(2013/10/07撮影)
呉市広町田の黒瀬川沿いにある「町田せせらぎフラワー通り」に咲き誇る10万本といわれるコスモスの花。20人の有志が毎朝、手入れをされている。近所の小中学生も苗の植え付けなどを手伝っているという。
コスモス
ふるさとはメキシコと言われても、にわかには信じられない。
それほどコスモスは日本の秋に溶け込んだ。
秋桜の和名もある。コスモスは宇宙の意味も持つ。
ロマンを感じさせる名だが、語源はギリシャ語で「秩序」。
そこから星が整然と座す宇宙や、舌状花弁が整斉と並ぶ花のコスモスに。
(2001/09/16 付け朝日新聞「花おりおり」より)